突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚


シンちゃんはすぐにお風呂のスイッチを入れてくれ、湧き上がるまでは応接間で、わたしをしっかりと抱きしめていてくれた。

危機が去って、もうすっかり安心なはずなのに、今頃になってがたがた震えがやってきて、止まらなくなったのだ。

「なんで、僕に迎えのLINEをしてこなかったの?それどころか、僕からのメッセージに既読もつけなかったよね?
……櫻子、僕がどれだけ心配したか、わかる?」

わたしをやさしく抱きしめてくれてはいたが、シンちゃんからはこってりと叱られた。

わたしがあまりにも「無視」するので、シンちゃんは念のためにと交換していた真生(まき)ちゃんのスマホに連絡したらしい。

すると、真生ちゃんはわたしがとっくの昔にメトロで帰って行った、と言うではないか。

シンちゃんはあわてて車をすっ飛ばしてうちまで帰ってきた、というわけだ。

「……ごめんなさい」

わたしは世にも情けない声で謝った。

シンちゃんはわたしに、これからは二度と自分からのメッセージをスルーしないことを約束させた。それから、スマホにGPSで位置情報を知らせるアプリをダウンロードし、わたしの居場所をいつでも「捕捉可能」にした。


そして……

「櫻子が無事でよかったぁーっ!
真っ暗闇の中で、櫻子があいつと二人でいるのを見たとき、心臓が止まるかと思ったぁーっ!」

シンちゃんにしてはめずらしく大声で叫んで、わたしを今までで一番つよい力で抱きしめた。

< 128 / 272 >

この作品をシェア

pagetop