突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
「……櫻子、今晩は一人で寝られる?」
顔をあげてそう尋ねたシンちゃんの目は、彼からは今までに感じたことのない、あるものを帯びていた。
いくらぼんやりしているわたしだって、もう三十歳を過ぎているのだ。そのくらい判る。
シンちゃんの目をじっと見つめた。
そして、ゆっくりと首を左右に振った。
「……一人じゃ……無理……シンちゃん……ずっと……そばにいて……」
シンちゃんの目が見開いた。
きっとわたしの目だって、シンちゃんと同じあるものを、帯びていたに違いない。