きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
Book 12
「執(しつ)恋」
翌朝、目覚めたらすぐ横にシンちゃんの顔があって、飛び上がるほどびっくりした。
とたんに、明け方まで続いた「あのこと」が脳裏にはっきりと甦り、わたしはパニックになった。
布団を捲れば、まだ一糸まとわぬ真っ裸のまんまだったので、わたしはそーっと布団から出てGUのルームウェアを取ろうと腕を伸ばした。
だけど、突然後ろから覆いかぶされて、また布団に引きずり込まれる。
「……ダメだよ、櫻子」
シンちゃんがわたしの耳元で低くささやく。
「まだ……どこにも行かせない」
有無も言わせぬ「皇帝」の声だった。
そして、背後からわたしの両方の乳房をもちあげるようにして揉みしだく。
「……ぁん……っ」
合間に先端をくりくり弄られて、思わず、声が漏れる。はしたないくらい早く、自分が潤っていくのがわかった。
「……櫻子はおっぱいも感じやすいね。
普通、こんなに大きかったら、感度が落ちるって言うけどね」
到底そんなことは言わなさそうな、なめらかで落ち着いた声でわたしの耳に語りかける。
それにしても……どこの統計?
まさか、自らフィールドワークした「調査結果」じゃないでしょうね?
振り向いて問いただしてやりたいのに、わたしはただ善がり声をあげるばかりで、なにもできなかった。