突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜

「……先刻(さっき)、警察の人にね、
『不安なときはできるだけ家族に迎えに来てもらうか、タクシーなどを利用してください』
って言われたんだけど」

家に帰る車の中で、わたしはシンちゃんに言った。

「わたしには家族もいないし、『無職』になっちゃったからタクシーにばかり乗ってもいられないし……これを機に、軽自動車でも買おうかな。
一応、運転免許は持ってるから」

今はすっかりシンちゃんのブリウスの「定位置」になっているけれど、うちの前栽の横には車一台分のカーポートがあった。

それに今日は土曜日だから、きっとシンちゃんには行くところがあったはずだ。

なのに、わたしにつき合って病院や警察にまでついて来てくれた。

……これ以上、迷惑はかけられない。


「……櫻子、それ、本気で言ってる?」

その声が、わたしに向けては今までに聞いたことがないくらい()んやりしたものだったので、びっくりしてシンちゃんを見た。

ブリウスを運転するシンちゃんは前を見たままだったが、その横顔は怒っていた。

「し…シンちゃん、どうしたの?」

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