突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
通話を終えて、シンちゃんが応接間に入ってきた。コーヒーはすでに冷めていた。
淹れ直そうと立ち上がったわたしを「あ、コーヒーはいいから」と言って、シンちゃんは引き止めた。
「……ごめん、櫻子。これから、出かけなきゃいけなくなった」
心底済まなさそうな顔で告げた。
わたしは思わず、俯いてしまった。
いったんは落ち着いた涙が、また、込み上げてきていた。
「一人で……大丈夫?」
シンちゃんは心配そうにわたしの顔を覗き込む。
大丈夫なわけ、ない。
でも……これ以上、耐えられなかった。
わたしは思い切って顔を上げた。