きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
Book 13
「あんな彼には」
「……原さん、なに言って……」
呆然と佇むわたしに、原さんは遮るように口を挟んだ。
「調べたんです。彼のことを。
まず、ネットで『萬年堂 葛城 慎一』と検索をかけてみたんですが。
彼の素性は……呆気ないほどすぐに出てきましたよ」
……な、なにが出てきたというのだろう?
なんとも言えない嫌な予感が、心の底から押し上がってくる。
「彼が、萬年堂の営業部に所属してるだなんて、とんでもない」
原さんは首を左右に振った。