突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜

「この家から……出て行ってって……言ったでしょう?」

わたしはシンちゃんに背を向けたまま告げた。

次の瞬間、シンちゃんが覆いかぶさるように、背後からわたしを抱きしめた。

「いやだ……絶対に出ていかない」

抱きしめる腕に、力が込められていく。

「あんな……夜と朝を過ごしといて……離れられるわけ……ないだろう?」

耳元で……わたしの好きな、あの滑らかで、落ち着いた声で(ささや)く。

「昨夜は……わたしに……あんなことがあったから……お互い、どうかしてたのよ……
お願い……わたしのことは……忘れて……」

シンちゃんの魅惑的な目や、その左下にある泣きぼくろを見てしまうと、到底言えないから……

わたしは背を向けて、俯いたままだ。

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