突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜

帰宅途中でスーパーに寄って買い物をし、家に着けばすぐに晩ごはんの支度をして、できあがったらダイニングキッチンで食べる。(昭和な間取りではリビングから完全に独立しているのだ)

葛城さんからは「家賃」以外に「食費・光熱費」もいただいている。それも、結構な金額だ。

わたしが『そんなにいらない』といくら言っても『いいから。その代わり、美味(おい)しいものを食べさせてよ』と言ってにやりと言う。

だけど、おばあちゃんに育てられたわたしがつくる料理は、どうしてもあっさりとした和食中心になってしまう。

にもかかわらず、葛城さんは、
美味(うま)い、美味い』と言って食べてくれ、
『僕くらいの歳になると、こういうのがうれしいよ。身体(からだ)にもよさそうだしね』
と言って、とても「僕くらいの歳」とは思えないみずみずしい笑顔になる。

後片付けくらいは手伝うと彼が言うので、それは二人で(おこな)い、そのあとテレビのある(リビングと呼ぶにはあまりにも昭和な)応接間に移って、コーヒーを飲んでくつろぐのが「日課」になりつつあった。

葛城さんは、
『IKEAの家具って、こういう部屋に置くと、ジャパニーズ・モダン風にもなるんだね……落ち着くよ』
と、お世辞を言ってくれる。

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