キミの好きをください。
「凛が頑張ったのはわかる。わかるよ。でもさ、なんで自分から会話を終わらすなんて愚行しちゃうかな」



寝て起きていたら『おやすみ』くらい来ていると思った。


せめて見てくれてるのかなと思って開いてみても既読の文字も無し。



完全に『無視』!!
しかも今、お昼休み!!!



「でも、でも、見てくれても良くない…???」

「『おやすみ』なんて来てたら、わざわざ開くまでもなく通知見て終わりでしょ」


「…私が悪うございましたよ…!もう…」



ブブッブブッ


「凛、スマホ鳴ってる。奇跡的な亜貴だったり」

「無い無い。絶対無い。絶対公式アカウントだから期待しない!!」

「ま、確かに。返事するなら朝にしてるだろうし」



まひろたんの言う通りと思いながらスマホを開くと




私は目を見開いた。


ありえない。



焦らして、さんざん私の気分を下げておいて…






『亜貴:緊張なんてしなくていいから』







わざとか。



「凛??」

「なんなの!?あいつ!!!」

「凛??あいつって…もしかして」


「亜貴!!!なんなの…!?焦らすとか高等テクニック使ってきやがって…!!!」



たったそれだけなのに、こんなに喜んでしまうなんて



重症だ。



「ま、よかったじゃん凛」

「まひろたぁぁん…!!これは私も焦らす案件ですか??」

「真顔でそんなこと聞かないでくれる?アンタはそんな器用なことできないでしょ。ありのままで」





返す言葉を考えるのに時間がかかるのは相変わらず変わらない。




(開いてから約10分、自然に焦らしてる凛が恐ろしいわ)




『凛:わかってる…!努力する』



昨日の夜同様、やっとの思いで送った。

返事くれと騒いでいたけれど亜貴の高校は進学校。

私たちとは違って勉強に忙しいのかもしれない。

昨日、チラッと見かけた時も難しそうな参考書を読んでいたのが見えた。




「まひろたん、返信くれるだけでもありがたいと思わなければいけないよね。」

「…情緒不安定か。」

「うっ…でも、最初にまひろたんが言ってた事思い出して…」


「あぁ、進学校の話か。それより見たまえよ凛氏。」




まひろたんが私の名前のあとに『氏』をつける時は決まってオタクスイッチが入った時。

ちなみに、まひろたんがオタを発揮するものは様々で


アニメ、漫画、アイドル(男女問わず)、ゆるキャラ、ゲーム



まだあるけど挙げてたらキリがない。



「凛氏と私、近藤まひろの推しのグループKiss♡planet略してキスプラの6thシングル発売記念の握手会が来月に決まりました。はい拍手。」


Kiss♡planetは今はまだ爆発的人気な訳じゃないけれど私とまひろたんが推しに推している男性アイドルグループ。


「え、今回は大きい都市だけじゃないんだ!」

「そうなんだよ凛氏。毎回毎回、都市しかやらず、貯めた貯金で遠征をしていた人生におさらばする日が来たんだ。」


「と言うか、この握手会場のショッピングモールの名前に見覚えがありますよ…!!まひろたん先輩!!!」



「そうなのだ。私たちの近くで唯一大きいと言えるショッピングモールにキスプラが来ます。」




キスプラで盛り上がり、来月の予定も決めたところで昼休みが終わった。



まひろたんは来週発売のCDの特典が握手会だと知り、いくら落とそうかを真剣に悩みながら席に戻っていった。



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