キミの好きをください。
「なんてことがあってさ……あぁ、、いい思い出だった…ってあれ??」

「あれ??じゃないんだけど。そこは、『ほら!他の子には優しいの!』って言うところじゃないの??」

「ご、ごもっともです…」





別々の高校に入ってから亜貴とは全くといっていいほど話さなくなった。

目が合ってもどちらとも無く目をそらしてすれ違うだけ。


こんなにもあからさまにわかってる『脈ナシ』。




それでもやっぱり亜貴が好きだから諦めるという選択肢は私の中になくて。



「と、いうかLimeのグループから亜貴のこと追加して話すればいいのに。」

「まひろたん…それが出来てたら苦労しないの!追加を押そうとして止めての繰り返しなんです!」


「追加されてもなんとも思われないって」


「思われる!しかも高1の時ならわかるよ!?でも、なんで今頃?ってなるに決まってる…」



話してるといつの間にか学校に着いてる。

まひろたんとは奇跡的に同じクラス。


まひろたんは荷物を一旦席に置くと私の席まで来て話の続きを聞いてくれる。



「凛、このままじゃ一生片思いだよ。無理無理言わないで一歩踏み出さない??」

「…踏み出したい…けど…」



怖い。

けど、変わるきっかけを、まひろたんが折角くれているのに。

これを逃したらもう変わることが出来ないかもしれない。



と、この時の私はそう思った。



「まひろたん、私、一生片想いだなんてやだ」


「うん。」


「だ、だから…亜貴のLimeを…追加してください…!」


「は、い???」



まひろたんは私を見てキョトンとした。



「お願いします…!私のスマホで亜貴のこと追加してください…」


「自分でやりなよ、凛」


「…うっ…ですよね…はい。」





決心してから約4時間が過ぎた。


お弁当やらパンやらの空腹を刺激するような匂いが教室を包み込む中、私はというと



「まだLimeとにらめっこしてるわけ??」

「うん。でも、もう決めた!!やってやる!」

「はいはい。ガンバレ」

「棒読みすぎない??まひろたん。応援してないでしょ。」

「シテルシテル。」


大口を開けてパンを頬張ってるまひろたんに『私より食い気か!』と心の中でツッコミつつも亜貴のLimeの追加ボタンに手を伸ばした。



ブブッブブッ





『亜貴 を追加しました。』



亜貴がどんな反応するのかとか。
はたまた無視されるのかとか。
ブロックされるのかとか。



思うことは沢山あるけど、今は



少し変われた自分を褒めてあげたい。そう思った。





「できた…まひろたん!!できた!」

「え、ほんとに??凛が??自分で?」

「うん!そうだよ!」



まひろたんは自分のことのように喜んでくれた。

まひろたんには、迷惑を沢山かけているし、お世話もしてもらっている。


だから、まひろたんが喜んだ顔が私は凄く好きだ。






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