キミの好きをください。
追加してからというものの私は落ち着きがなかった。


期待感と不安感。


授業が始まっても机の中にスマホを忍ばせてはメッセージが来ていないか確認する。


スマホ依存症だと我ながらそう思うけど、気になって気になって仕方が無い。





(電源落とせばスマホ気にしなくていいし万事解決じゃない??)




早速実行して見たものの気になってしまう。



(いや、ダメだから。授業、全然理解できないけど授業受けなきゃダメだから!!)


なんて、いつもなら机に伏せて寝てる私がスマホを気にしないようにする為だけに真面目にノートを書き、授業を受けた。







「凛、帰ろ」



「き、来ていない…!!!」

「何が?あぁ、亜貴??」

「そう!!…凛ちゃんのメンタルはもうゼロよ…」



『あぁ、やっぱり来てない』とは思っていたけど、

どこかで期待してた分、少し悲しかった。




(いや、勝手に期待してた私が悪いんだけど…)




「早まるな早まるな。追加されただけで何か送って来るなんてレアでしょ。」

「…言われてみれば…盲点だった…。待って、ということは何さ、私から送らないといけない…!??」


「そういうことになりますかね。とりあえず、駅向かいません?」



歩くこと15分。


駅のホームに着くと同じ学区の他校の生徒がちらほら見える。



亜貴居ないかな?とか偶然一緒になったりしないかなとか。


キョロキョロしてしまう。



「凛、キョロキョロしすぎ。」

「だ、だって…たまにこの時間の電車だし…いるかなぁって…」






「亜貴、歩きながら勉強してんの危ねーよ」
「大丈夫。お前が俺の目の代わり役になってくれてるから。」



改札口の当たりから聞き覚えのある名前と、聞き覚えのある声がした。


チラッと目線を移すと『いた』。



亜貴が。

小さな参考書のようなものを眺めながら歩いてて。


その隣には私が苦手なタイプの少し陽気な人が隣にいて。



「凛、良かったじゃん。いたよ」

「うん…!!」

「今送っちゃえば??」


「え?…今なんと?まひろたん」



「だから、今送れば??Lime。」



しばらく固まっている私にまひろたんが『凛がずっと片想いしてたいならしなくてどうぞ。』って言って喝を入れてくれたもので。

このままなんて嫌だとまた火をつけてもらった私は震える手でLimeを開いた。



「な、なんて打ったらいいと思う?」

「送りたいこと、送ればいいと思うけど」




さんざん悩んだ挙句に私は



『森永凛です。憶えてるかな?』



と送った。


少し離れている距離にいる亜貴を少し見ていると私が送った直後にスマホに手を伸ばしていた。


(…すぐ見てくれた!?と、届いてるってこと!?)



「そんなにガン見してたら見つかると思うけど。」

「え?!あ、そっか…うん。大人しくしてる。」




まひろたんは最近ハマっているアニメのゲームアプリに夢中になっているから
返信が来るまでは私も大人しく音楽を聴いて待っていることにした。



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