キミの好きをください。
現時刻20:00


未だに亜貴からの返事はなかった。


既読すらつかない。



(見るくらいしてくれてもいいじゃん…)



と理不尽に亜貴を責めながら枕に顔を埋めた。





ブブッブブッ




(…いや、まさかね…!…でも…期待しちゃってもいいかな)



ギュッと目を瞑りながら携帯を開いてゆっくりと目を開けた。




『亜貴:たった1年で忘れるわけないだろ』




返事、きた。



「夢??幻覚??」



画面を見ながら頬をつねってみた。




痛い。




うん。かなり痛い。



「夢じゃない…!!!」




喜びのあまり、まひろたんにLimeを送った。


『凛:まひろたん!!!来たの!!!亜貴から!!』

『まひろ:よかったね。』

『凛:え、もっと喜ぶところ!!』

『まひろ:凛の事だから嬉しさが勝ってまだ亜貴に返事してないと思い。その域に達していないと思ったもので。』




亜貴から返信が来たのは嬉しい。

けど、なんて返事をしていいのか悩んでいた。


簡潔に返信して会話が続かなくなったらいやだ。とか。

必要以上に質問攻めにして、それが面倒で返してくれなくなったら



とか、考えれば考えるほど返信が出来なくて普段使わない脳をフル回転した。



頭を使いすぎて逆にだんだん冷静になってきて、亜貴がくれた返信をもう1度眺めた。




『亜貴:たった1年で忘れるわけないだろ』



(…ちょっと待って、コレ絶対心の中で半笑いしてる気がしてきた。)




何となくバカにされているような気がした私は中学の時の調子で



『凛:一番最初は何送ればいいかわからなかっただけです!!!』



と勢いで送っていた。



送った後に、『あ、やってしまった。』と

可愛げがないと後悔した。




あぁ、どうしよう。と画面を凝視していると
さっきとは打って変わって亜貴からすぐ返信が来た。



『亜貴:もしかして緊張してんの?』



緊張するなんて当たり前だ。


だって、亜貴が『好き』だから。


なんて。冗談ぽくでも言えたらどんなにイイか。






結局、打っては消して、打っては消してを繰り返していたら



時計の長針が一周していて



返事にどれだけ時間かけちゃってるの私。


って思って。



良い子はもう寝る時間になってて。



『凛:してるよ。久しぶりだもん。』

『凛:返事してくれてありがとう。おやすみ』



私らしくない『喧嘩腰の言い返し』じゃない亜貴への態度。


少しだけ、少しだけだけど亜貴対して女の子になれたかな。




返信がきた安心感でまぶたが重くなる。



(明日も…頑張ろう…)



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