キミの好きをください。
「あーきくん。おはよ♪」


『だーれだ』みたいな事を『男』が『男』にする人間は、自分の交友関係を漁っても1人しか浮ばない。



「悠。気色悪い。やめろ。」


「あれま、ご機嫌ななめ??」


「なんでそうなる」



『男』が『男』にされたら普通そういう反応になると思うのだが
それを機嫌が悪いと受け取る悠が俺には不思議だ。



自分には理解できない、悠の感性が面白くも感じるのだが。



「そう言えば、凛ちゃんにちゃんと返した?」

「…それ、聞いても悠に得なんかないだろ」

「亜貴さ、なんで凛ちゃんのことは隠すのさ。俺に知られてたくないわけ??」



悠に言われて、読みかけてた本にしおりを挟んで考えてみた。



「別に、そういう事じゃ…ないと思う」

「じゃ、俺が凛ちゃんに会いたいって言ったらどうよ?」



俺と悠の間に変な沈黙ができる。


それと同時にHRのチャイムが鳴った。



「ほら、悠、席戻れ」

「はいはい。わかったよ。じゃ、また後でー♪」



担任の話と毎日の小テストを軽く流しながら悠が言っていたことを考える。



____『なんで凛ちゃんのことは隠すのさ』

____『俺が凛ちゃんに会いたいって言ったらどうよ?』




(隠してるわけじゃない。…会いたいなら勝手にすればいい)



でもどうしてだろうか。


そう思っているのに。





隠すような言動をしたり
悠が森永に会いたいと言われると面白くないのは。





(不思議な感覚だ。俺らしくない)





____『一番最初は何送ればいいかわからなかっただけ!』




昔みたいな調子だと思って『緊張してんの?』なんてからかったのに



____『してるよ。久しぶりだもん。』
____『返事してくれてありがとう。おやすみ』




突っかかってこない返信に調子が狂って

緊張、してんのかよ。とか思って



何となく、なんて返していいか悩んで



まだ森永に返信できないでいた。





(…緊張してんの、俺の方かよ…)


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