マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
瞳真だって、きっと軽蔑しているに違いない。
胸を揉まれて変な声を出したエロい女。とかって。
あぁ…キスすらしたことないのに、エロ女のレッテルを貼られるなんて。
沈んだ気分のまま、正面玄関口に入る。
ちょうど登校時間とぶつかっており、行き交う生徒が多くなっていた。
「…あの、星月」
先を歩いていた美優が、急に振り返る。
「ん?な、何?」
「星月って、本当に蓑島くんと付き合ってるの?」
「………」
その質問…今となってはため息モノだよ。
一応、偽ではあるけど、彼氏。
痴漢大魔王だけど…一応、彼氏。
はぁ…と、本当にため息が出てしまった。
「まあ、一応ね…」
「……あ、そう…」
ため息がまた出ながらも、靴箱に手を入れる。
…が。
(…ん?)
あるはずがない変化に違和感を持つ。
…あれ?あれ?
ない…?
靴箱の名前を確認してから、もう一度中を見る。
いや、私の靴箱で合ってる。
でも、ないのだ。
あるはずの私の上靴…靴箱の中に、ない。
何で…?昨日の帰りまではあったはずなのに。