マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
…戦いは、すでに始まっていたのである。
「おはよ、星月」
「あんたどしたの?遅刻?」
「…あ、うん。まあね」
1時限目の終わった教室。
中に入ると、斗弥子と彩里に何気なく声をかけられるが。
返答がしどろもどろの曖昧になってしまう。
まずい。この二人には話せない。
蓑島くんのファンに『別れろ!』『ズベタうんこ女』との罵声を浴び、上靴が攻撃されたなんて知ったら。
斗弥子は間違いなく、蓑島くんに喰ってかかるだろう。
余計な心配、かけたくない。
…いや。ズベタうんこ女、知られたくない…ってものもある。
自分の名誉の保身。
『…え?ズベタうんこ?何それ…ぶふふ…意味教えてググって…ぶふふ』
『それ死語だよねー?ぶふふ…星月がズベタうんこ?…笑っちゃいけないけど、ぶふふ…』
…笑われること、間違いなし!
いや、だって私だって笑っちゃいそうだもん。
「星月、何かあったの?」
「…い、いや!何でもありませんっ!死語でもググってませんっ!」
「は?」
何故か後ろめたい気持ちで、自分の席に着く。
私、被害者なのに何で後ろめたいのよ。