マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
そんな理不尽極まりないイジメに、怯んでいる場合ではない。
そっちが殺る気十分なら、こっちは自分の身を守る気十分。
しかし、身を守るために学校休むですとか、泣き寝入りは性に合わない。
こちらはこちらで、今出来る最大のディフェンスをさせてもらう。
私物から目を離さないは、絶対。
どんな時も、全て持ち歩く。
背中にリュック、右肩には部活用のバッグ、左肩には靴などを入れたバッグ、何もかも常に身に付ける。
「星月、あんた…何で荷物全て抱えて移動してんの」
「何とか金次郎みたいー」
「聞かないで。今は何も聞かないで」
ゴミ箱代わりにされた靴箱に、家から持ってきた小さなゴミ箱を押し込む。
…これで、ゴミを捨てても構いませんよ、と。
トイレには、折り畳み傘を持参。
傘をさしてトイレに入る。
案の定、滝行が開催され、天井から水が降ってきたが。
傘のおかげでディフェンス成功した。
しかし、何も入っていない、空っぽの机の中に。
例の赤紙が入っていた。
《ミスターと別れろ!》
《ズベタうんこ女!》
《このパイだけ女!》
…パイだけ女が追加された!
ちいぃぃっ!
…そんな生活をしていると、あっという間に放課後になる。
しかし、私のディフェンスにやきもきしたのか。
早々と向こうさんが接触してくるのであった。
「…あんた、一年の杉久保だよね?」
「ちょっと話あるんだけど…来てもらえる?」