マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
あまり距離を離さず追ってくる彼女たち。
少しでも足を緩めたら、追い付かれそう。
…もう。現役離れてから、走ってないから足が回らない!
「…逃げやがって!このデカブス!」
背中の方から怒声が飛んでくる。
私、逃げた?
結局、走ってまた逃げた?
…いや、違う。
これは、ケンカするために逃げたんだって。
《本当に強い女は、あそこでは『私の瞳真に手を出さないで!』って乗り込んで、女同士でケンカするんだよ。ケンカケンカ》
《な、何言ってんの!そんなこと出来るワケないじゃない!》
…本当は、あの時も。
斗弥子や蓑島くんの言うとおり、ケンカ出来たらよかったのかもしれない。
…ううん。
やっぱ、それは出来ない。
美優のことも、瞳真のことも好きだし。
なんせ…瞳真の中へ、踏み込む勇気がなかった。
美優の時も、後藤さんの時も。
お人好し?チキン?
どっちかな。
でも、どう言われようと。
結局、今の私には出来ない。