マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


ボールが地を跳ねる音。

トラップした時の足にボールの当たる音。

スパイクが土を擦る音。

張り上げる、声。



言い訳を考えることなんて忘れて、ただ聞き入っていた。

思いを…馳せながら。



(………)



あーだこーだ考えても仕方ない。

行こう。




「…星月?」



再び足を進めようとした時、後ろから人の気配と足音がした。

名前を呼ばれて反射で振り返る。



「あ…瞳真」



そこには、先週の件以来、顔を合わせるには気まずい人が…。

目が合ってしまい、思わずぱっと逸らしてしまう。



「星月、遅刻か?珍しいな」

「あ、あ、うん、まあ…と、瞳真、練習は?」

「ちょっと抜けてた」

「あ、そう…」



気まずい…。

先週のことを思い出してしまった。

恐らく、バカップルと思われている…。

気まずさゆえ、話し方もしどろもどろになってしまう。

間が持たない。二人きりだと余計。

早くグランドに…。



「れ、練習、行こっか…」

「…星月、俺のこと避けてるだろ」

「えっ…えっ!」



あ、ああぁぁ…。

何の前触れもなく、いきなりブッ込んできた!



その一言は、私を動揺させるには十分だった。


< 178 / 800 >

この作品をシェア

pagetop