マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
まあ…私も、サッカーばかりやってたから、ファッションなんて気持ちはあっても、無頓着に近い。
着る暇もなかったし。
「………」
歯磨きも終えて、恐る恐るとリビングへ向かう。
突然家に押し掛けてきた彼が、一人でいると思われる、リビングへ。
蓑島くんは、ソファーに座って付けっぱなしのワイドショーを見てはおらず。
リビングにある棚の上や壁に貼ってある写真を見ていた。
私やお兄ちゃんの写真。
「…あ」
蓑島くんが、こっちを向いた。
私に気付いたみたい。
「お母さん『せづ!』って可愛いね。俺もそう呼ぼうかな」
「部活では先輩にそう呼ばれてるよ」
「せづのお兄ちゃんもサッカーやってたの?」
早速私を愛称で呼び始めた蓑島くんは、写真を指差している。
「うん。青森岩田高校知ってる?」
「お、知ってる知ってる。サッカー強い高校でしょ?野球も強いよ」
「そこのサッカー部にいたの。去年の全国大会、試合に出てたよ?」
「おぉっ!去年優勝してるでしょ!すげー。サッカー一家なんだな。兄ちゃん今はプロ?」
「ううん。東京の大学でサッカーやってる」
「へぇー」