マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


「ご、ごめん…私、これからちょっと約束が」

その横で、美優は申し訳なさそうに手を合わせている。

「そろそろ星月にスコアの付け方教えてもらわなきゃと思っていたんだけど…」

「いいよ大丈夫!また今度ね?試合もまだあるし」

「ありがとー!先帰るね!」



そうして、美優も部室から出ていく。

一人部室に取り残された私は、仕事を再開した。



美優…こんな夕方に約束?

ひょっとして…男かな。



美優は小さくて可愛い。

手足も細くて、キレイなロングヘアで。

女子力高い。

男は放っておかないだろう。部員も、美優のことを「可愛いよな…」と、こそこそ話をしていたのを聞いたことがある。



美優マネ可愛いよなー。小さくて可愛くて癒しだよなー。うさぎみてえだしー。

それに比べて、せづマネは圧あるよな…。

そうだな。練習見てる目、圧かけられて厳しいよなー。

デカくて逞しいからじゃね?

だって、仕方ねえよ。だって女子のU-15のフォワードだぜ?

え?デカいって何?おっぱいが?

エロ視点か!



…だなんて、一年部員に陰口叩かれてね…。

笑うしかない。




…さっきも、撤収の時間にて片付けの際。



『お、重いっ…』



ベンチ周りの片付けをしていた私と美優。

美優は、中ぐらいのジャグを手に取ったが…重かったらしく、一人ではなかなか持ち上がってなかった。

『美優、重いんなら無理しなくていいよ』

『いや、大丈夫…』



それを見ていた紫苑先輩は『おいおい…』と苦笑いしている。

『美優マネ…それ運べなかったら何運べんの』

『す、すみません…』

『せづマネを見習いなさい。あんたのより数倍重いジャグを軽々と一人で持ってるよ』

『………』



確かに。

私が今一人で手に持っているジャグは、美優のより二回りぐらい大きめのもの。

でも、私は鍛えていたから持てるワケであって…。

あ、普通の女子は持てないのか…。

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