マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
使ったカギは、さっき選んでもらった黒い革調の巾着のようなポシェットに入れて。
我が家を後にする。
「手、繋ご?」
「手?」
「だって俺達恋人でしょー?」
その一言にいちいちビクッと反応してしまう。
こ、こここ恋人っ…。
しかし、あわあわとしているうちに、右手を取られて握られる。
「ね?」
そう言って、いひっと笑う蓑島くん。
キラキラスマイルは、今もご機嫌で。
…あぁ、もう。何なのこの人。
握られて繋がった手からは、温度を感じて。
それが緊張を更に煽る。
大きくてゴツゴツとした、逞しい男の人の手なのに。
なぜか柔らかくて、温かい。
「バス停どこ?」
「あ、もうちょっと先」
バスに向かって、いつもの慣れた道を…蓑島くんと手を繋いで歩く。
いつもの道が、いつもの道じゃないみたいだ。
…考えてみたら、男の人と手を繋いで歩くなんて、当然初めての体験で。
は、恥ずかしい…。
そして、地元だし。
知り合いに見られたら…。
「…お。せづ?」
…見られたあぁぁっ!!