マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
すると、それを見ていた1年部員が、美優の持ち上げようとしているジャグに手を出す。
『美優マネ、持ってやるよ!美優マネは華奢で弱そうだからねー?』
『あ…』
男子の力でひょいと軽々しく持ち上げた。
『あ、ありがとう、伊野くん…』
『いいよいいよ!…早霧谷さん、美優マネに厳しすぎ!せづマネとは違って、美優マネは力弱いんだから!』
『あのなぁ…』
(私とは違って…ね)
ホント、私とは大違い。
私は、164㎝と背も高い方で。
去年まで一応アスリートだったから、全身に程よく筋肉もついていて、華奢とはまるでかけ離れている。
トレードマークだったショートカットは、今はだいぶ伸びて長くなったけど。
私も…ちょっとは女の子らしく、なんて。
そんな思いを頭に過らせると、ペンが止まってしまう。
(………)
…それは、誰のためのもの?
嫌だ、私。
心の奥底では…それを、瞳真に見てほしいとか、思っちゃっていて…。
そんなこと、叶うワケがない。
(………)
さっきのジャグの件、瞳真の件。
考えていても、仕方がない。
ささっとスコア集計を終えて、仕事終了。
何か、着替えるのめんどくさくなっちゃった。
どうせ、家もここから徒歩10分だし、ジャージのまま帰ろう。
とりあえず私は、一旦部室を離れ。
体育館内にある更衣室に赴き、置いていた制服を取りに行った。