マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
でも、強がって、大丈夫大丈夫と言い続けた私は。
振り返ったら、後ろには誰もいなくて。
傍にも誰もいない。
いつの間にか、みんな前にどんどん進んでしまっていて。
そして…一人になった。
…そんな、前にどんどん進んで行ってしまった人達が。
私の前に、現れた。
もう、会うことはないと思っていたのに。
あのね、ケガした膝、本当に何ともないの。
完治してるし、リハビリも終わってるから。
後遺症もないの。
じゃあ、何で…?
「ひょっとして、彼、星月の…?」
私より小柄なショートボブのいつきは、蓑島くんをチラチラと見ながらやたらとニヤニヤした顔を見せる。
蓑島くんは「こんにちはー。蓑島ですー」と頭を下げて、ニコッと笑った。
イケメンのキラキラスマイルを振り撒いてしまった…。
こらこら。女殺し。
「きゃっ!カッコいい!」
「う、嘘っ!めっちゃイケメン…!」
案の定、いつきと瑠華、二人して、羨望の眼差しを蓑島くんに捧げていた。
もう、蓑島くん…。
私と同じく、この子たちはサッカーばかりやっていて男の人に免疫ない人種なんだから。
「星月、すごい!こんな素敵な人、どこで捕まえたの!高校で?!」
「あ、うん…」
「共学いいなぁー!うち女子校だからイケメンいないしー!」