マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「うふふ。三人揃ってベンチ入りなんだ」
「そうなんだ…」
会話が頭に入っていかない。
それどころではない。
早く、早く逃げ出したい。
…あの事を聞かれる前に。
そればかり思うと、ソワソワしてしまい、手がピリピリと震えているのを感じてしまった。
やがて、心臓の音も脈打つように響いている。
そして、少しの世間話を終えた後。
ようやく解放されることとなった。
「…じゃあ、私達もう行くねー?星月、今度またゆっくり会おうー?」
「連絡してよねー?久々にゆっくり話そうよ」
「う、うん…わかった。また今度」
そう言って、いつきと瑠華は手を振ってここから離れていく。
やっと…。
「真琴、行くよー!」
いつきがこっちに向かって叫びながら手招きをしている。
「………」
しかし、真琴は返事もせずにその場に立ち尽くしたままでいた。
私の方をじっと見ている。
(まさか…)
真琴がそこから動かない事に、心臓の脈打つ音は胸騒ぎに変わる。
真琴、行かないの?
みんな、呼んでるって…行かないの?
「…また今度、っていつ?」