マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


「そ、それは…」

「星月、手術した時も退院してからも私達に『大丈夫』って言ってたよね?またサッカー出来るようになるって…大丈夫って私達に言ったよね?」

「あ…」

「じゃあ、何で?何でサッカー続けてないの?何が『大丈夫』なの?」

「………」

「ケガしてからリハビリを理由にチームにもろくに顔を出さない。こっちから連絡しても、返信は一切なし。高校の体験会にひとつも顔を出さない!…何が『大丈夫』なの?」



『大丈夫』



…あの時の私に、この言葉はとても危険だった。



大丈夫じゃないのに、笑顔を作って大丈夫と口にする。

大丈夫じゃないのに、いつもの強がり。

でも、強がるにはあまりにもダメージが大きすぎた。



「…それに、あんた。うちの高校から『治療中でも構わないから入学してほしい』って、特待生の話、来てたんでしょ?なのに、断って…サッカーを続けることはいくらでも出来たワケでしょ?!」

「………」

「…なのに、あんた何やってんの?!全然『大丈夫』じゃないじゃない!どれだけ心配したと思ってんのさ!」



もう、返す言葉がない…。

ここで『大丈夫』は、もう通用しない。



< 236 / 800 >

この作品をシェア

pagetop