マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
(………)
…だけど。ふと、目に入れた蓑島くんの表情は。
黙って私の方を見ている。
でも、その表情は、嫌な顔をしてない。
むしろ、優しくて柔らかくて。
いつもの私を見る、蓑島くんの顔だった。
《…俺の前でだけは、強がらないで》
《守ってやりたいんだからさ?その為の俺…でしょ?》
…そう、言ってくれた時と、同じだった。
(私…)
…その時。
私の中で、何かが外れた。
今まで張り詰めていたものが、何かが弾けたような。
強がってばっかで、たいしたことないじゃん。
…うん。たいしたことないの、私。
もう、強がれない。
「…わ、わ、私…」
衝動的に絞り出した声は、震えている。
目頭が、じわっと熱くなってきた。
「ケガはもう…大丈夫なの…」
…あの時のことを思い出すと、泣けてくる。
何で、一人で抱え込んでしまったんだろうって。
何で…強がって『大丈夫』って言い続けたんだろうって。
「でも…這い上がれなかった…気持ち、着いていかなかったのっ…」