マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
頭の中がごちゃごちゃごちゃごちゃしていて、何が何だかよくわからない。
でも、それを振り切るかのように走って走って…何かから逃げる。
逃げて逃げて…逃げてばかり。
しばらく走って逃げていたが、息が切れて足もだんだん動かなくなってきてしまう。
そのうち足が止まってしまい、呼吸を落ち着かせるために、傍にあった、丁度良い高さの鉄製の手すりに腰かけた。
乱れる呼吸が徐々に落ち着いていった後に。
顔を上げた。
(あれ…?)
辺りを見回す。
ここ、どこ?
ふと見渡した周辺は、見慣れない光景だった。
あちこちに木々が植えてあり、人通りも少なくはない。
ベンチも置いてあって、ビルの前の広場のようだ。
無我夢中で走って逃げてきたから。
どこをどう通って、ここに辿り着いたのか全然覚えてない。
並んだビルの奥をじっと目を凝らして見てみると、ここに到着したときに真っ先に目にした特徴的な時計が見える。
外れではあるが、ここも一応駅前の広場といったところのようだ。
あそこから走って来たってワケか…。
また、逃げてきてしまった。