マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
今一度、目の回りの涙を拭う。
一息つくと、体のチカラが一気に抜けてしまった。
みんなの前で本音を言って、思わず泣いて逃げてしまったけど。
蓑島くんを、置いてきてしまった…。
ニセモノではあるけど、彼氏を置いて走って逃げてきてしまうなんて。
私、何やってんだろう…。
自分のバカさ加減に反省してため息をつく。
しかし、そこで。
聞き慣れた声がサクッと耳に入ってくる。
「ってか、カラオケ屋どこ行くのよ」
「横断歩道渡れば招き猫あるんじゃね?」
これは、伊野くんと越後谷くんの声だ…!
少し離れた歩道には、伊野くんと越後谷くんだけではなく。
レストランフロアで遭遇したメンバー…他に、美優や瞳真の姿もある。
みんなでどこかに向かって歩いているようだ。
背後にしていた木の陰に思わず隠れる。
突然の彼らの登場にビックリしてしまい、ドキドキしながら、こっそりと様子を伺ってみた。
「カラオケ屋着いたらよー?歌う前にまず、瞳真の対蓑島作戦会議、開催しねえ?」
「そうだ。そうだな。いつまでもやられっぱなしでいるワケにはいかねえしな?瞳真」
「しねえ。ほっとけ。カラオケ屋ではまず歌え」