マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
…でも、そこまで這い上がれなくて、見ないフリをしていたのは、私だった。
見ないフリをしていたのは自分なのに、置いていかれた気分になっていて。
逃げたんだ。
みんなのことがどうでもよくなって、逃げたのは自分だ。
わかっていたけど、ヒドイことをしていたのは、私の方だった。
悲劇のヒロインになりたくないと言っておきながら、悲劇のヒロインそのものになっていた…。
そして、順調に前に進んでいるみんなに、陰ながら嫉妬していたんだと思う。
みんなが心配してくれているのも、見ないフリして。
私は…みんなに、謝らなければならない。
「…っていうか、まこっちゃんって何。真琴のこと?馴れ馴れしいでしょ」
「え?妬いてる?」
「………」
そう言ってドヤ顔を向ける蓑島くんに、イラッとしてしまう。
妬いてなんか…その発想、めでたい。
しかし、さすが世紀の人たらし。
やれやれ…と、思いながら、持っているタピオカミルクティーに口をつける。
「あ、そうだ。…あの後みんな帰った?置いてきぼりにしてごめんね」
そう言えば。
蓑島くんを置いてダッシュで逃げたんだった。と、思って謝罪する。
で、追ってきてくれるとか、実は嬉しかった。