マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「ちょっとっ…キャプテンとか勝手に決めないでよね!」
誰が決めたの!と、聞くまでもない。
恐らく、私の目の前で楽しそうにニヤニヤしているこの男だ。
このっ…!
「そういうワケで、準備抜かりなく頼むよ?マイワイフ?」
「ちょっと、ちゃんと話聞いてる?」
「うん、聞いてるよ?愛しいおまえの美声、俺の心臓にまで染み渡っている」
「お願い、死んで」
「あははは。『死んで』いただきましたー!」
すると、教室の端の席に集っている男子達の方から「蓑島!来いよー!」と、声をかけられる。
蓑島くんは「はいよっ!」と、元気良く返事をして向こうの方にすっ飛んで行った。
「もう…」
イライラと共に、その場に取り残された私。
そのやり取りを傍で見ていた彩里が「あはは…」と、苦笑いをしている。
「星月、振り回されてるねー」
「…笑わないでよもう。高速コーヒーカップ並に振り回されてるよ」
今度はそのまた横で、椅子に座っている斗弥子が「あはは…」と苦笑いしている。
どいつもこいつも苦笑いしか出ないようだ。