マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
あぁー。息苦しかった。
思わず一息ついてしまう。
ついでに言えば、汗くさっ…。
…だなんて、ミスター相手に言えるワケがないね。
「蓑島くん、ありがと…」
「えっ?」
「顔、見られないように隠してくれたんでしょ」
「ははは。そうそう。渾身の俺の演技、良かったろ?」
「………」
逆ギレ劇場?
でも、それで瞳真と美優に気付かれなかったんだから、それはそれでいいかな。
「ま、俺的には?このまま本当にメイクラブ始めてもいいんだぜー?押し倒された杉久保さん、せくすぃー!ムラッとくるぅー!」
「…えっ!」
しまった。
私はまだ仰向けに寝かされた状態。
ニヤニヤといやらしいドヤ顔の蓑島くん、そこからどかない…!
「…って!早く!早くどいてよ!もう逆ギレ劇場は終わってんだからね!」
「えー。やだ。どうしようかなー。逆ギレ劇場?ウマイこと言うな?」
「…早く!…どけ!」
「えー!杉久保さんのでっかいおっぱい目の前に、引き下がらねばならんのですか!」
「…どいてぇーっ!!」
この、セクハラ大魔王!
ムキになって、私に覆い被さっている蓑島くんの胸をドンと押す。
「あー残念…」と言いながら、蓑島くんは私から避けて離れる。
残念…じゃないよ!
体を起こして、はぁ…とため息をついた。
(………)
…落ち着いた頭で、思い出してしまうのは。
先ほどの、キスの現場。
瞳真と…美優のキスシーンだった。