マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



…だなんて、当時の私には知る由もなく。



優勝を勝ち取った私達は、翌週。

チームジャージ姿で同じく地元の少年野球チームの応援に行く。

同じ地域の野球少年団も、選手権大会の真っ最中。

験担ぎみたいなもので、優勝を先に決めた私達に応援に来てほしいとのことだった。




北区の大きくて立派な球場に到着した時はすでに試合は始まっていた。

地元の少年野球チーム、星天ライオンズが二点リードで4回終了。

グランド整備で時間が空いた隙に、トイレへと行く。

用を足して出てきたところに…とある光景が目に入ってきた。




『ない、ない…あぁ、ない』



野球のユニフォームを着た、少し大きめの坊主の小学生。

草むらの中を掻き分けて、何かを探しているようだ。

そのユニフォームは、ただいまライオンズと対戦中の、バンキース?の選手。



今、試合に出てたよね。

大丈夫?探し物、見つからないの?

早くしないと試合始まっちゃうよ?



困ってる人を放っておけなくて、思わず声をかけた。



『あ、あの…何か無くしたんですか?』



すると、その野球少年はバッと振り向いてこっちを見る。



『探しております。四つ葉のクローバー』

『ふーん…え、えぇっ?!』



四つ葉のクローバー?

試合に…使う?



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