マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



蓑島くん、テンション上がってるな。

そして、いつも通りにスマイルも欠かさない。

その笑顔を見ていると、昨日の横川さんの話は本当なのかと疑ってしまうぐらいだ。



不安は見せない、か…。



「…おぉっ!…水口!水口だ!」



伊野くんたちの少し後ろで、その光景を黙って見守っていた瞳真を発見してしまった。

蓑島くんは嬉しそうに手を振っているが、逆に瞳真はムッとしている。



「…水口ぃーっ!マグロ釣れたら髪がサラツヤのおまえにも分けてやる!お・す・そ・わ・け!お裾分けー!」

「うるっせぇな。このターザン野郎。海じゃなく森に行け」

「…ターザン?!はぁっ?!俺が?!ぶははは!…おまえ、ギャグセンスねえな!駄々滑り!」

「………」

伊野くんはガッカリした表情で、瞳真の肩をポンと叩く。

「瞳真、気持ちはわかるがよくわかんねえな。蓑島にせめて一矢報いろとは言ったけど、だだ滑りだし、あんまり伝わってねえぞ。ターザンって何だ」

「騒がしいことを表現したかったのか?面白くねえな」

「…俺、先行くわ…」


瞳真は、そのままみんなの輪から外れて去ってしまった。

クールに去るけど、その横顔はムッとしていて、ちょっと可愛いけど。


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