マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


「は?…は?は?はあぁぁ?!」


試合、見に来い?!

だ、だってこれから私達は授業…。

何てことを強いるの!



しかし、呆気に取られれば取られるほど、蓑島くんは調子に乗る。




「…俺のマイラヴハニぃーっ!」

「ち、ちょっと…!」

声、大きい!そんな大声でそんな恥ずかしい言葉…あぁっ!




「もし、星月が見に来てくれたら…おまえのために、バックスクリーンに愛のホームランぶち込んでやるぜ!」




(ち、ちょっと…)





「…愛してるーっ!!」




愛してる。




…その時。

頭の中に、フッと映像が過った。



緑生い茂る、草っ原。

青いユニフォームを着た、坊主の少年。




愛してる。

ふざけているって…冗談だとわかっているのに、胸がきゅっとさせられる。




これは…。




昔の記憶に意識を半分持っていかれ、ボーッと蓑島くんを見ていると。

その蓑島くんの背後から、メガホンを持った横川さんがヌッと現れる。

勢い良くメガホンを振り回して、蓑島くんの頭にバゴーン!と命中させた。



「…痛って!…何すんだコラてめえぇっ!」

「いきり立って興奮して調子に乗ってんじゃないの!…窓閉めて!…出発してください!」

「ああぁぁっ!…ゆら、おまえぇぇっ!」


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