マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



横川さんに帽子をグッと引っ張られ、窓から引きずり降ろされて無理矢理座らされる。

その隙に、前の座席に座っていた部員にピシャッと無理矢理窓を閉められ、バスはゆっくり発進する。

「ああぁぁっ!おいぃっ!」

窓越しでも大声は空しく響いて聞こえていた。




「な、何だありゃ…」



一人で騒ぎ散らしていた輩を乗せたバスは、国道に入るとスピードを上げて去る。

そのバスを見送り、私達が取り残されたその場は一気にシーンと静かとなった。




「何か蓑島すげーテンション高かったな」

「試合前の武者震いとか?まあどっちにしてもせづマネ御愁傷様」

越後谷くんは、手を合わせて頭を下げている。

ちーん。みたいな。



ホント、御愁傷様だよ…!

部員や先輩の見てる前で『ハニー!』とか『愛してる!』とか!

恥ずかしいどころの話じゃない!

…もうっ!



その証拠に、見送りを終えて校舎へ向かう先輩方に『ハニー?愛してる?』『愛のホームラン?』『夜の愛のホームランはすでにぶち込まれてんだろ?』と、通りすがりにニヤニヤしながら言われる。

夜の愛のホームラン?!

先輩、セクハラですよ!



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