マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



…ったく、もう。



《悠介が緊張してるとか、面白いでしょ?》


もう…。



《プレッシャー?蓑島くんが?》



更衣室で制服に着替えながらも、昨日の横川さんの話や、先程の蓑島くんの奇行のことを考える。

着替え終わって、教室に行ってからも。

蓑島くんのいない、教室に。



「星月、越後谷くんから聞いたよー?蓑島くん、マイクロバスから愛を叫んだんだってねー?ふふふっ」

ホームルーム開始前。

私の隣に来た彩里は、面白がってニヤニヤと笑っている。

話伝わるの早っ。

「試合見に来いよ!って?蓑島くん、思いきってるー。やるぅー」

「もう、調子に乗ってるだけだよ」

もう、苦笑いしか出てこない。

隣にいる斗弥子も苦笑いだ。

二人並んで苦笑い…。



「…星月」

「何」



呼ばれて斗弥子の方へと顔を向ける。

斗弥子は苦笑いをやめていた。



「あんた…まさか、行かないよね?」

「え?」

「…試合」

「………まさか。行くワケないしょ」



そう斗弥子の問いに答えるも。

何だか、歯切れが悪い。



何だか、もやもやする。



それは、ホームルームが始まり、1時限目の授業が始まっても治まりきらず、もやもやは続く。


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