マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



生物の授業が始まり、先生の単調な話し方を耳にしながらも、まだそのことを考える。




《意外でしょ?…悠介、他人に不安を見せないから》



もう…。




他人に不安を見せない?

人にあんなことを言っておいて、何なの。



《俺の前でだけは、強がらないで?》



…自分だって、強がってんじゃん。

あんなことを言うぐらいなら、蓑島くんだって強がらないでよ。

変な強がり方。



(………)




《大間のマグロ、一本釣りしてくるぜ!》




…いや、強がりなんかじゃない。

不安を見せないのでもない。



蓑島くんは、強がってもないし、不安を見せないんじゃない。




《愛してるーっ!!》




…むしろ、ああやって不安を見せてるんだと思う。

さらけ出してるんだ。

単に真っ直ぐに表現しないだけで。



自分をさらけ出すことに、何の恐れもない。

私の強がりとは、まるで違う。



《何か蓑島すげーテンション高かったな》

《試合前の武者震いとか?》



だから、周りも気付く。



自分が『弱い』ってこと、認めてる。

誰かに助けて!って言える。

だから、『強い』んだ。


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