マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


小さな店が立ち並ぶという、地元の商店街に良く似てる景色の中を走る。

途中、球場の案内の看板もあって、それが指す矢印の方向に向かって走った。



やがて、見えてくる。

球場の姿が。



球場の目の前に着いた時にはすでに息切れしてしまい、もう走れずヨロヨロと歩いていた。

落ち着かない小刻みな呼吸は、息苦しい。

少し、休みたい…。

そう思って、傍にあるベンチにすがるように腰掛けた。



あぁ、疲れた…張り切りすぎて。

今思えば、なぜこんなにも衝動的に飛び出してしまったんだろう…と、まで思い始めてしまった。

はぁ…と、深く息を吐いて俯く。



(…ん?)



爪先がカサッと音を鳴らす。

注意を引かれて足元を見る。



(あ…)



私がいるこの辺りの、公園のようなベンチが置いてあるスペース。

足元は芝ではなく、よく見ると…草むら。

時季ではないので花は咲いてないが、白爪草の花畑だ。

証拠に、足元には一面のクローバー。

…三ツ葉だけど。



(………)



ひょっとして…ある?



ベンチから降りて、その場にしゃがむ。

三ツ葉のクローバーが集まった草むらを掻き分けた。


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