マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
…ない。
目を凝らしてひとつひとつ確認するけど。
そこは、三ツ葉…どれも三ツ葉だった。
はぁ…そんな簡単に見つからないか。
あの時の出来事は、奇跡に近い。
それを物語っている。
四つ葉のクローバー…。
《四つ葉のクローバーは、幸運のシンボルなんだって》
あの時の坊主少年のように。
蓑島くんにも四つ葉のクローバーがあれば、ホームラン打てるのかな。
幸運、訪れるのかな…。
今探した場所からひとつ右に移動して、再び草むらを掻き分ける。
再び目を凝らしてがさがさと手を動かす。
やはり、そこも三ツ葉だらけで四つ葉の姿は見られなかった。
ううぅぅ…。
何だか、諦めきれない。
また少し離れた場所に移動して、また草むらを掻き分ける。
なかなか見つからない。
また違う場所に移動して、探して…を繰り返していた。
あぁ、ない。ない…。
これだけ探してもない。
…ないのに。
何故か、諦めきれない。
一心不乱、夢中で探して探して探しまくる。
…しかし、奇跡ってヤツも。
起こすために必要なものを、人が必要な時に与えてくれるワケであって。
…案外、簡単に起きる。
「あった…!」