マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


「…来い!」

「え?…えぇっ?」



うなだれていたと思ったら、急にガバッと顔を上げて、あっという間に手首を掴まれて引っ張られる。

すぐ傍にあった、ドアが開いたままの通用口の中へと連れていかれた。

「み、蓑島くん?!」

ちょっと…!


と、思う間もなく、中にある自動販売機の陰に引っ張り込まれる。

引き寄せられたと思ったら、あっという間に背中に手を回されて、ギュッと抱き締められた。



(な、ななな…)



何が起こったのか、一瞬わからなかった。

しかし、私の体を抱き締める強い腕の力と。

包み込む体の熱い温度で、だんだん理解してくる。




今、私。

蓑島くんに、抱き締められている…。



「…くそっ」



私の左の耳元らへんにある、蓑島くんの口からボソッと呟かれた。



「なんでこうもまあ…可愛すぎる」



その甘い囁きは、私の胸をドキッと動かす。

恥ずかしくて…顔が熱くなる。



「…おまえは、なんて可愛いヤツなんだ!」



そして、更にギュッと腕に力を入れられる。

きつく、抱き締められた。



密着して感じる、蓑島くんの熱い体温が体に伝わってきて。

頭も熱くなって、クラクラしてきそう…。



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