マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
めまいがしても、ぬるま湯に浸かっているような心地好さが、気持ちいい…。
「…二本、か」
そう言って、蓑島くんは腕を緩めて私を体から離す。
やっと目にした顔は、いつもの余裕ありげな笑みだった。
「それ、ちょーだい」
「あ、うん…」
「へへっ。ありがと」
ずっと詰まんで持っていた四つ葉のクローバーを、そっと手にする。
草二本は、ようやく蓑島くんの手に渡った。
自分の手元にある四つ葉のクローバーを見つめて、ニカッと微笑む。
喜んでくれたのかな。
と、思うとホッとしてしまった。
良かった…。
その時、グランドの方からは歓声と拍手が沸き上がる。
蓑島くんは、ふとそっちの方に顔を向けた。
「前の試合、終わったみたいだ。行かなきゃ」
「あ、ごめん…」
「…何で謝んの?」
「いや、だって…」
「あ、『試合前なのに引き留めて誘惑してごめん?』みたいな?」
「こら!」
うひひ…と、怪しくいたずらに笑っている。
いつもの蓑島くんだ。