マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
横川さんがいたのは、一塁側ベンチの真上の座席で、他の部員たちと一緒にいる。
その中から、飛び出して私のところに来てくれた。
「ちょっと、ビックリしちゃった。悠介からLINEきて《星月来てるからよろしく頼む》なんて。まさか、本当に来るとか」
手にしていたスマホの画面を見て、横川さんはふふっと笑う。
「あ、突然でごめんね…」
すると、横に首を振られる。
「ううん。何か嬉しくなっちゃった。心強い」
ふふっと静かに笑っている。
そして、目の前にメガホンを二つ差し出された。
「…応援、しよ?」
「うん!」
そのメガホンを受け取り、一緒に部員たちのいる輪の中に向かう。
「うぉっ!杉久保さん、マジで来たの…」
同じクラスの野球部の男子、西尾くんが私の登場に驚いた顔を見せる。
西尾くんは、クラスでも蓑島くんや伊野くんたちといることが多く、あの杉久保イレブン(…)にも誘われてメンバーとなっていた。
彼のリアクションに、あはは…と、苦笑いするしかない。
そりゃ、学校抜け出してなぜか球場にいるんだもん。
他の部員も、不思議そうに思う顔で私を見ている。
サッカー部のマネがなぜ!みたいな。