マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「横川さん、お兄さんいるの?」
「うん。二人いる。下の兄貴は三年生だから、今学校。ここにいる人達は上の兄貴に連れてきてもらった。…ほら、あそこの黒いTシャツ着たごく普通の男。あれが上の兄貴」
「ふ、二人も!」
しかも、上のお兄さん。似てない。
横川さん自体は美少女なのに、お兄さんはホントごく普通の若者だ。
三年生のお兄さんは知ってる。野球部の前のキャプテンで、横川さんと何となく似ている。
紫苑先輩と同じクラスで仲良しだっていうのは、紫苑先輩から聞いてた。
上のお兄さんも、この高校だったんだ。
「おーい、ゆら」
「…なしたの。陣兄」
そのお兄さんが、座席の間の階段を降りて、妹である横川さんのところに来て話し掛けている。
「おい、メガホンあと二つくれや」
「どうぞ勝手に持ってって」
「はいはい。あと、チームの調子はどうよ。北甲相手にどこまでやれそうなのよ」
「相手が決勝見据えてのエース温存で来た。あのエースさえ先発しなかったら、うちにも分がある。打撃は悠介と遠田さんが上がってきてるのよ。1番と4番調子良いから、うちが勝てる可能性がある」
「強気ですな。マネージャー」
「全力で挑むまでよ?」