マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
今の会話で、横川さんもこの試合に思いを掛けてることがわかる。
この試合が、事実上の決勝戦だと言っていた。
恐らく、うちにとっては正念場なんだろう。
勝ったら決勝、負けたら秋はこれで終わり…。
スタンドにいても、マネージャーでも。
下にいるメンバーと一緒に戦ってる。
そして、相手が格上で、負け試合である可能性が高いのに、絶対諦めない。
…同じマネージャー、わかる。わかるよ、その気持ち。
そう思うと、なお一緒に応援したくなる。
なぜか、気合いが入ってしまった。
だって、奇跡は起こる。
起こるんだよ。
…その『奇跡』が必要ならば、必ず与えてくれる。
ベンチ前に集合して円陣を組んでいる蓑島くんや選手たちを遠目から見て、メガホンを握る手に力が入ってしまった。
この広い広い球場が、緊張感を高めて静かになる。
両校とも、ベンチ前に選手が並んでいて、その中には…蓑島くんもいる。
試合が、始まる。
この位置からじゃ背中しか見えない。
今、どんな顔をしてるんだろう…。