マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
表が守備の相手校の選手が、グローブを持ってパラパラとグランドに出てくる。
マウンドでピッチャーが投球練習してる中…ベンチからバットを持って、蓑島くんが姿を現した。
広い背中の背番号8が視界に映る。
《俺から目を離すなよ?》
…そう言われると、ますます目が離せなくなるでしょ。
まるで、魔法にかけられたみたいに。
蓑島くんの体温が、まだ体に残ってる。
火照りが冷めない。
そう感じると、蓑島くんの背中を見つめては…どうもならない想いが込み上げてきた。
「星月、早速応援だよ?歌まだわかんないと思うから、メガホン叩くだけでいいから」
そう言って、横川さんは自分の持っているメガホンを私にちらつかせる。
「ん?ん?歌?」
「選手一人一人チョイスした応援歌があるの。チャンスになればチャンステーマに切り替わるけど」
「ん?チャンス?」
「まあ、とりあえずメガホン叩いといて?」
「え?え?」
何が何だかわかんない。
そんな会話をしているうちに、いつの間にか蓑島くんがバッターボックスに入っていた。
すでにバットを持って構えている。
あ…!
審判が「プレイボール!」と声を掛ける。
手を上げると同時に、試合開始のサイレンが鳴った。
あっ…始まる!
(蓑島くん…!)