マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様




「………」



私の隣にいる横川さんも、呆然と立ち尽くしている。

まさかの初球ホームランに。



「勝つよ…」



呟かれた声は、震えてる。

そして、メガホンをあてて声を張り上げた。



「…この試合、絶対勝つよ!」



そして、奇跡ってやつは。

人の心も動かす。



「蓑島に続けー!」

「次大事だぞ!どんどん攻めろー!」



感動にまだ打ち震えるその心を、グッと胸の奥に押し込んで。

今は、勝利を信じて応援する。

部員や、隣の横川さんの歌に合わせてメガホンを叩いて。

一緒に声をあげて、応援した。


「ナイセンナイセン!見えてるよー!」

「惜しい惜しい!振っていこー!」


横川さんは、いつもツンとしてクールな感じがするのだが。

応援は熱い。

プレイヤーへの激励も、応援の歌の声量も半端じゃない。

意外な一面だった。



そんな横川さんとは。

ヒットでランナーが出たら、一緒に盛り上がって。

ランナーがホームに帰ってきたら、抱き合って喜んだ。



スリーアウトで攻守交代し、守備に入っても。

ピッチャーが三振取ったり、ゴロやフライでアウトを取れたら、一緒にメガホン叩いて喜ぶ。

ヒット打たれて得点されたら、落胆は見せずに、声を張り上げて掛ける。

「切り替えて!集中!」

「次で切るよー!」


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