マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様


「嘘っ…」


突如として舞い込んできた『奇跡』に感動しているのか。

信じられないのか。



「星月、こんなっ…逆転…」

「勝てる、大丈夫」



誰よりも奇跡の予感をしていたからか、横川さんにキッパリと言い放ってしまった。

…この『大丈夫』は強がりの大丈夫じゃない。

何となくそんな気がしてしまったからのセリフだ。



「星月…」

「まだ試合終わってないけどね。応援しよう、横川さん」

「…うん!」



高校野球は、九回まで。

まだまだ油断はできない。

それはみんなも承知なのか、プレイしている選手も、応援スタンドも集中をきらさない。

みんな、目の前の試合に一生懸命だ。



一方、試合は相手チームのエースが登板してからは、蓑島くんのホームランを最後にヒットは出るもの打線が繋がらない。

得点が出来ないまま、ゲームが進んでいく。

しかし、こちらの守備も負けてはいない。

交代したリリーフピッチャーの二年生が、大健闘しているのか、打たせて捕って得点を与えない。

お互い得点させないまま、うちの二点リードで最終回を迎えていた。


< 347 / 800 >

この作品をシェア

pagetop