マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
「嘘っ…」
突如として舞い込んできた『奇跡』に感動しているのか。
信じられないのか。
「星月、こんなっ…逆転…」
「勝てる、大丈夫」
誰よりも奇跡の予感をしていたからか、横川さんにキッパリと言い放ってしまった。
…この『大丈夫』は強がりの大丈夫じゃない。
何となくそんな気がしてしまったからのセリフだ。
「星月…」
「まだ試合終わってないけどね。応援しよう、横川さん」
「…うん!」
高校野球は、九回まで。
まだまだ油断はできない。
それはみんなも承知なのか、プレイしている選手も、応援スタンドも集中をきらさない。
みんな、目の前の試合に一生懸命だ。
一方、試合は相手チームのエースが登板してからは、蓑島くんのホームランを最後にヒットは出るもの打線が繋がらない。
得点が出来ないまま、ゲームが進んでいく。
しかし、こちらの守備も負けてはいない。
交代したリリーフピッチャーの二年生が、大健闘しているのか、打たせて捕って得点を与えない。
お互い得点させないまま、うちの二点リードで最終回を迎えていた。