マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
その結果に注目すべく、場内はシーンと静まった。
そして、審判の手が上がる。
「…アウトー!…ゲーム!」
嘘…アウト?
試合終了?
やった…!
「か、勝った…?」
「勝った…」
少しの間を置いて、場内は歓声に溢れ返る。
まさかの番狂わせに、異様な盛り上がり方をしていた。
「…勝った?勝った?!…嘘だろ?北甲相手に!」
「うおぉぉっ!マジすげえぞ?!」
スタンドも、勝ったその事実に、信じられないがという疑惑を混じらせながらも、部員たちははしゃぎかけて喜んで、もう歓喜の渦だ。
「う、嘘っ…勝った…」
横川さんは、前に飛び出したその位置から、電光掲示板を見つめて呟いている。
両手で顔を覆って、その大きくてパッチリとした瞳からは、涙が溢れていた。
「横川さん、勝った!勝ったんだよ!」
私も喜びのあまり、横川さんに駆け寄る。
「やった!やったよみんな!」
「…星月っ」
横川さんは、涙を流したまま私に飛び付いてくる。
私の胸の中で「ううぅぅ…」と声をあげて泣いていた。