マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様



「やったよぉぉ…みんな、よく頑張ったぁぁ…」

美少女は、泣き方も可愛らしい。

そんな胸の中で泣く彼女の頭を撫でる。



私は…何となく。

勝つんじゃないかな、と思っていた。

こんな不利な状況の中でも、そう思っていた。

元プレイヤーの勘というか。

だって、みんな集中きれてなかったし、最後まで諦めてないムード漂っていたし。



そして、なんせ。

奇跡を呼んだ男がいたから…。



胸の中で、横川さんがボソッと呟く。



「…星月は、本当に…幸運を運ぶ勝利の女神なんだね…」

「………」



…それは、どういう意味?



しかし、この勝利の歓喜ムードに包まれる中で、そこを突っ込んで聞くことはしなかった。

ホームで挨拶を終えて、死闘を制した選手たちが戻ってくる。

再びスタンドに向かって整列をして頭を下げた選手たちの表情が、達成感に満ちたとても清々しいもので、胸いっぱいになってしまって、それどころではなかった。

蓑島くんの表情も、いつものドヤ顔や不敵な笑み、悩殺スマイルでもない。

本当に、心から喜んでいる本気の笑顔だった。

爽やかすぎる。

初めて見た表情だった。



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