マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様
早足で階段を降りたち、球場の外に出た。
今は次の試合との繋ぎ目の時間だからか、外には人が多く歩いていたり、そこらで談笑している。
そんな中を潜り抜けるように辺りを見回して、蓑島くんの姿を探す。
どこにいるの…?
この逸る気持ちは、もう想いが走り出している証拠だ。
会って、確かめたい。
どこにいるか皆目見当がつかないが、辺りをうろうろと歩いて何度も見回す。
人が多くて…見つけづらい。
少し歩くと、球場の通用口の傍に、うちの高校のユニフォームを着た選手が荷物を置いて集まっている。
たくさん置かれた荷物の傍に、部員たちが談笑しているようだ。
(あ…)
その輪の中に、見つけた。
みんなの輪の中心にいる、蓑島くんを。
ユニフォームには泥が付いていて、顔には汗が浮かんで光っている。
ボロボロだ。
それでも、いつもの笑顔は忘れずに、仲間と楽しそうに話している。
姿を目に入れてしまうと、落ち着きかけた胸が再び高鳴ってしまう。
傍に行きたい、だとか。
何とも言えない想いが込み上げてきた。
「…蓑島くん!」
頭で考える前に、声が出てしまう。